
事業資金を用意できる不動産担保ローンとは
不動産担保ローンとは、不動産をお持ちの場合に担保とすることで開業資金や事業資金を調達できる商品です。現在不動産担保ローンはさまざまな金融機関で扱っており、審査を受けて融資を受けられるようになればじっくりと資金繰りをすることができます。
例えば、三井住友信託銀行グループの三井住友トラスト・ローン&ファイナンスの『不動産担保ローン(ビジネスコース)』の場合ですと1年以上、返済期間は最長で35年までと長期返済することができます。不動産担保ローンで得た事業資金はさまざまな目的に活用でき、法人も個人事業主も融資を受けられます。
融資額は300万円から可能で、申し込みをして実際に事業資金を受け取れるまでの最短期間は、1週間と大変スピーディです。融資限度額は10億円とまとまった資金調達が可能ですから、これから新規で事業を立ち上げる際はもちろんのこと、すでに運営している会社の事業拡大をしたいときにも活用できます。
新規で会社を立ち上げる場合、デスクやパソコン、ソフトウェアなど幅広い設備投資が必要となります。計画的にやり繰りしていても意外な出費にあとから気が付くことも多々ありますので、不動産担保ローンで資金にゆとりを持てれば心強いでしょう。金利は実質年率が15.00%、適用年率は3.90~7.40%です。返済額を算出してみて、返済計画をしっかり立ててから手続きを行うようにしてください。
不動産担保ローンを利用するためには、十分な返済能力の有無を確認するために、銀行融資でもその他の場合でもまず審査を受けるところから始まります。必要書類の提出が求められますので、申し込み前に準備をしておくと手続きがスムーズです。三井住友トラスト・ローン&ファイナンスの場合、代表者の方の本人確認書類として運転免許証や健康保険証、パスポートなどが必要です。法人の申し込みでは、商業登記簿謄本も求められます。
不動産担保ローンですので、担保とする不動産にその価値があるかの審査も行われますから、建物や土地の不動産登記簿謄本、建物図面、地積測量図、公図、住宅地図も用意します。法務局で入手できますので、手配してください。直近3期分の確定申告書や決算書は、収入確認のために用意します。必要書類は各不動産担保ローンで多少異なるでしょうから、申し込みをする金融機関で確認してください。
不動産担保ローンが役立つ開業資金の例
新しく開業するとき、必要になる事業資金はいろいろあります。開業の場所となるお店やオフィスは賃貸費用が発生します。選んだ物件があまり改装しなくても利用できる場合は、安く抑えることができますが、外装や内装を工事しないといけないケースもあるでしょう。
小規模で運営する個人事業でしたら自宅で作業ができたり、賃貸物件を利用するとしてもあまり改装工事がかからないかもしれませんが、規模が大きくなればそれなりのまとまった出費になります。備品として、レジスターやパソコン、テーブルやイスなども欠かせません。代表者だけでなくスタッフを雇用するなら、従業員を募集ことにも資金がかかります。物件の準備が整い、スタッフや備品など一通り揃ったら、オープンにあたって販売促進費や広告宣伝費用が発生します。
近ごろはどんな分野の会社でもホームページを作成して、自社の商品の特徴やアクセスの説明をしてアピールしていますからインターネットによるプロモーションの費用もかかります。車を使用する業種なら、乗用車やトラックなど必要な車種の車を買うかレンタルします。
新規でオープンする業種に多いのが飲食店です。飲食店はレストランやカフェ、居酒屋、バー、コンビニ、ラーメン店など多岐に渡り、これらの開店時の事業資金として不動産担保ローンが役立てられています。人が生活をする住宅用の物件とは異なり、飲食店のテナントは高い保証金を最初に支払わなければなりません。物件によってもさまざまでしょうが、目安は賃料の約6ヶ月~1年分といわれています。保証金の他に仲介手数料という費用があり、これは不動産業者にかかります。
飲食店といえばテーブルやイス、厨房機器などの設備が不可欠ですが、業務用の冷蔵庫や大きなシンクをこれから購入するとなるとかなりの出費が予想されます。これらの出費を抑える方法として、これまで飲食店に利用され、厨房機器が残されたままのていたテナントを選ぶ「居抜き」があります。前に入っていたお店の店主が購入したものを譲り受ける形になりますので、「譲渡代金」を支払うことになりますが、新品を全て買い揃える場合に比べれば節約になります。
厨房機器などの他にも、スタッフが着用するお店の制服、グルメサイトで取り上げ紹介してもらうための広告費用などまだまだ事業資金はかかります。開業前に揃えなくてはならないものの費用の他に、オープンしてから継続的に出ていくランニングコストもあります。
人件費や食材費、家賃、光熱費なども忘れずに計算してみてください。事業計画を入念に立ててから不動産担保ローンの申し込みをすることが、審査に通過し借入れできるようにするために重要です。
不動産担保ローンと似ているビジネスローンとは
事業資金を借入れするとき、不動産担保ローン以外にも金融機関ではさまざまな商品を展開しています。そのうちの一つが、ビジネスローンです。不動産担保ローンは担保にできる不動産が必要になりますが、ビジネスローンは不動産がなくても申し込みができ、主に中小企業や個人事業主へ事業資金の貸し付けを行っています。
ビジネスローンを扱う金融機関によって、必要な準備が違ってきます。自治体の信用保証制度を活用した保証付き銀行融資なら、保証人の代わりを信用保証協会がしてくれることで担保がなくても申し込みが可能です。担保がなくても事業資金を借りられるところをお探しなら、商工中金(商工組合中央金庫)や日本公庫(日本政策金融公庫)といった政府系金融機関のビジネスローンがあります。
担保が不要というのは商工中金や日本公庫のビジネスローンを選ぶ大きな魅力ではありますが、融資された資金をなににでも利用できる不動産担保ローンよりしばりがあります。設備投資や運転資金など、あらかじめ使途が決まっています。設備投資に利用する場合は見積書を出さなければならず、買ってからは領収書を提出しなければなりません。
これまで運営されてきた実績を判断した上で審査結果がでますから、申し込み時には確定申告書や決算書の内容がチェックされます。前年度の決算でもし赤字がでている場合は、決して全く審査に通らないというわけではないものの、確実に回復できるという見通しがたたなければ融資は受けられません。
事業計画書を提出するのですが、返済計画と資金繰りがしっかりした内容でなければ審査に通過しないでしょう。担保なしで借り入れができるのは大きなメリットですが、事業資金に大金が必要な場合は上限金額があまり高くありませんので、全額の調達は難しいかもしれません。商工中金や日本公庫のビジネスローンは、返済期限が3~5年です。返済計画を立てて、この期間で完済できそうにない場合はあきらめるか、事業資金の一部のみを借入れするなどとなるでしょう。
ビジネスローンについて知っていくと、もし不動産さえあれば不動産担保ローンは長期的にゆとりを持って返済ができ、さらに大金を借入れできるので有利な商品だとわかります。不動産をご自身が所有していないとしても、親族やご両親などで担保にしてもいいと承諾してくださる方がいれば、不動産担保ローンに申し込むことは可能です。いろいろな可能性に目を向ければ、もしかしたら不動産担保ローンを利用できるかもしれませんよ。
大手に審査落ちしたら不動産担保ローン専門業者
不動産担保ローンはさまざまな金融機関で扱っていますが、どこに申し込んでも絶対に審査に通り事業資金を借りられるというわけではありません。不動産担保ローンを扱う大手というと、銀行や銀行系ローン会社です。安心して利用できるところが理想的ですから、最初は名の知れた大手の不動産担保ローンに申し込みをする法人代表者や個人事業主がほとんどでしょうが、審査落ちしてしまうこともあります。
大手でダメだったからといって、不動産担保ローンで事業資金を準備することをあきらめそうなら、不動産担保ローン専門の金融業者に申し込んでみてはいかがでしょう。大手で審査に通らなかったけれど専門業者に再チャレンジしたら融資を受けられたという事例は多々あります。
不動産担保ローンに申し込みをするとき、事業計画書の提出を求められ、審査の判断材料の一つに用いられます。しかし、最小限の人数のスタッフで忙しく働いている小規模な法人などでは、十分な事業計画書を用意できずに審査で落とされてしまうことがあります。大手の場合は事業計画書の内容だけで判断しますが、不動産担保ローン専門業者は事業計画書を準備できるよう的確なアドバイスをくれるなど協力的です。
不動産担保ローンでは所有する不動産を担保にしますが、大手の多くは指定範囲内の物件しか対象としていません。専門業者の中には、全国どこにある不動産でも対応してくれるところがあります。せっかくの資産ですから、事業資金の借入れに役立て、事業のさらなる躍進に役立てたいものです。
金融商品の申し込みをすると、審査結果が伝えられるまで1週間などある程度待たされる傾向があります。不動産担保ローン専門業者の対応がスピーディなところでは、最短2日後には審査結果が伝えられます。業務の合い間に貴重な時間を作って申し込み手続きをしていれば、早く結果がわかるのはうれしいポイントです。もし大手で審査落ちしたら、専門業者という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
不動産担保ローンの内訳となる資金の種類
不動産担保ローンで融資を受けられるようにするためには、返済計画をしっかりと立てることが審査に好印象となります。不動産担保ローンで準備できた事業資金がどのような種類の目的に利用するのか割り出せれば、どのくらいの期間で返済すか計画を立てる一助になるでしょう。
主な資金は、新規事業資金・借換資金・創業資金・つなぎ資金・納税資金などがあります。新規事業資金は、新しい事業を立ち上げる目的で使われる資金です。借換資金は、融資を受けていた金融機関に対し返済期限を迎えても更新が認められなかった場合を想定して、借換に使用するためのお金です。創業資金は、フランチャイズでお店を出す場合などに、最初に支払わなければならない初期費用に用います。
不動産担保ローンには長期返済できる商品があり、せかされることなく事業資金に役立てられるのですが、そんな中でも以下のつなぎ資金と納税資金などは短期資金として返済計画を練るといいでしょう。つなぎ資金は、公的融資制度などを利用して借入れができるよう申し込み、融資を受けられるまでの期間に使える資金です。納税資金は、分割返済にて決算期の納税資金を準備するためのお金です。
事業を運営していると、急に資金が必要になることもあるでしょう。そんなとき、不動産担保ローンをいろいろ探していると即日融資可能というノンバンクの業者が目に留まります。必要なときに迅速に対応してもらえるのはありがたいのですが、即日というのは通常の申し込みをする場合に比べて条件が不利になる可能性がありますから気を付けて、内容によく目を通してから判断してください。
例えば、金利が相場より高めだったり、担保である不動産の価値を通常より低めに評価されたりなどです。低い評価になれば、当然正当な評価よりも少ない金額の融資しか受けられなくなります。即日でなくても審査に3日など多少の期間を有するところもありますので、少しでも日数を稼げるならそういったところの不動産担保ローンを選んだ方が有利でしょう。